音戸清盛祭

 

音戸清盛祭

 

 地域の誇りともいえる音戸の瀬戸周辺地域最大規模のお祭り。その歴史は古く、「遊長門島記」によると「天保五年(1834年)7月16日・17日、瀬戸三区清盛祭を行う」と記載されている。

 

 音戸の瀬戸開削という偉業を成し遂げた平清盛公の功績を偲ぶために、月明かりの下、太鼓に合わせて念仏を唱えながら踊り明かした「念仏踊り」が清盛祭の始まりとされている。

 

 その後、世も移り変わり、大名没落によって参勤交代で使用していた道具が不要となったために払い下げを受け、いつの頃からか「念仏踊り」が、百万石の格式を誇る「大名行列」となった。

平成19年 音戸清盛祭

平成24年 音戸清盛祭

平成24年 音戸清盛祭 10分編集版

 

 1979年(昭和54)に音戸町文化財に指定され、呉市と合併して以降は音戸の舟唄と並び、呉市無形文化財に指定されている。

 

 現在は約5年に1度のペースで開催されており、次回開催は2023年5月28日。

 

花上下

御船

投奴

 

開催略年表
1834年(天保5年)

旧暦7月16日,17日に念仏踊り始まる。

~『遊長門島記』~

1858年(安政5年)

「鰯浜大名行列」始まる

以後、1889年(明治22年)まで毎年開催

1952年(昭和27年) 戦後初めての開催
1978年(昭和53年) 26年ぶりに開催
1979年(昭和54年) 町の無形民俗文化財に指定
1980年(昭和55年) 2年ぶりに開催
1991年(平成3年) 以後、5~6年おきに開催
1996年(平成8年) 開催
2002年(平成14年) 開催 町政70周年記念
2007年(平成19年) 開催
2012年(平成24年) 開催
2017年(平成29年) 開催
2023年(令和5年) 6年ぶりに開催

御馬

御籠

扚持

 

大名行列の順序

狭箱

お局と腰元

子供狭箱

 

大名行列の詳細

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先幟  行列の先頭で全体の動きを制御。車輪を付けた台で運び行列を先導。最後尾の跡幟とは対の役割
緋羅紗幟 緋色の地色に「清盛祭」の文字。車輪付きの台車で運ぶ。
献酒 酒樽を担いで行進する。
花上下 「上下の唄」を唄いながら稚児を乗せた御輿を担いで練り歩く。威勢の良さが特徴で、昔は半纏に藁紐を締め、褌という出立ちで行列した。各々上下はそれぞれの地区で担ぎ、装飾の競い合いも見所のひとつ。
上下
投奴 清盛祭の花形役。一番投奴から五番投奴は一連の動作。四人一組で毛鑓を投げ渡し受け取りながら行進。前の二人は両手を左右に広げ腿を上げるように、後ろの二人は若干腰を落とし気味にして毛鑓を左右に振りながら行進する。
二重奴 二名一組で投奴より長い毛槍を持ち歩く。道中では舞いながら毛槍を相手に手渡し、持ち手を交代していく。
白毛大奴 奴の持つ槍の中では最も丈が長く重い鎗。同じく四人一組で、舞うように鎗を手渡しながら行進する。
馬印 戦陣に於いて大将の馬の側に立て、その所在を示す目印としたもの。清盛祭においても殿様の乗る馬の前を歩き目印としている。また、馬印が元となり、火消しの「纏」になったといわれる。
馬扚持 殿様に水を差し上げる柄杓を持ち運ぶ役割。殿様の馬の前を行進。
馬口取 二名一組で両側から馬の手綱を取り先導。行進中、馬が暴れないように制御する役割でもある。
御弓 殿様用の弓を運ぶ役割。弓矢を肩に担ぎながら行進する。
御馬 殿様と馬を合わせて「御馬」と呼ぶ。殿様役は一生一度の名誉ある役とされているため、昔は殿様役に選ばれた子供の親は、大金を払って衣装を新調した。
差傘 降雨時、殿様に傘を差し掛ける役。通常は御馬の後について歩く。
籠扚持 お姫様に水を差し上げる柄杓を持ち運ぶ役割。お姫様の御籠の前に行進する。
御籠 籠は松山藩から譲り受けたものを修復しながら使用している。戸は開けたまま行進する。
お籠付 「御籠」を担ぐ役割。杖を持ち四名で籠を担ぐ。
お局 お姫様の身の回りの世話をする女官の監督官。「御籠」に付き添い、腰元達を従えて歩く。
腰元 お姫様の身の回りの世話をする女官。若い女性の役で、両手を腰の前で重ね、お局の後に楚々と歩く。
茶辨当 殿様や姫様のお茶や飲料を入れて運ぶ役。殿様付きの茶辨当は黒い弁当箱を、お姫様付きの茶辨当は赤い弁当箱を担いで歩く。
草履持 御馬や御籠の後に続き、殿様やお姫様の草履を預かり差し出す役。鬘や化粧を施し、草履を差し出す様を一連の舞いで表現する。
瀬掘幟 幟を高く掲げながら行進する。
瀬掘子供 「音戸の瀬戸」の開削労働者を模した動き。「せっせっ せっせかせ」と囃し唄を唄いながら行進し、先頭の旗振り役が集団の動きや囃しを指揮する。
合羽籠 大名行列の道化役(人気者)。男役は籠の天秤棒を右肩に担ぎ、煙管を左手に持ちながら歩く。女役(女装した男性)は右肩に開いた傘を掛け、左手に桜の枝を持ちながら歩く。
子供狭箱 大人の狭箱と動作は同じだが箱の形状が異なる。狭箱とは殿様の携帯品・所持品等を入れる箱で、四人一組が交代しながら運ぶ。
狭箱 子供狭箱と動作は同じだが箱の形状が異なる。狭箱とは殿様の携帯品・所持品等を入れる箱で四人一組が交代しながら運ぶ。
大見附 武士の隊列の前方と中央に位置し鎗を高く掲げながら行進。沿道の様子を監視したり見張る役割。
大見鎗 鎗を高く掲げながら行進する。
殿様に付き従う侍役を子供が演じる。隊列を組み行進する。
殿様の警護をする役割で、三種類ある鎗の役割は同じ。二名が三列になり行進する。
長刀 「鎗」と同様殿様の警備をする役割。
刀筒 刀の入った筒を右肩に担ぎながら行進する。
鉄砲 殿様の警護役の一つ。鉄砲を肩に担ぎながら行進するが、重量があるため二名で交代しながら持つ。清盛祭大名行列では、明治維新後に払い下げられた本物の鉄砲を使用。
面高 植物の「オモダカ」の葉を図案化した形状の纏。鎗全体は重量があるため屈強な男が持ち行進する。清盛祭と「オモダカ」の関連は不明。
台傘 大名行列での決まり役の一つ。袋に入った大きな傘を肩に担ぎながら行進する。袋には日傘代わりに使った「かぶりがさ」が入っている。
立傘 大名行列での決まり役の一つ。お姫様用の雨傘を肩に担ぎながら行進。
医者 行列での人気者の一つ(道化役でもある。)出立ちや振舞いなどで芸をし笑いを誘う。道具箱の中から薬を取出し沿道の見物人に配ったりする。
御舟 清盛が開削工事を検分した時の御座船を模したもの。「御船の唄」を唱えながら優雅に行進する。先頭の殿様やお姫様と同様名誉な役で両手をかざして舟の方向を指示する。
跡幟 行列の最後尾で全体の動きを制御する役割。白く背の高い幟には「平相國清盛公」の文字。車輪を付けた台で運び行列先頭の先幟と対の役割。
太鼓基 引地区に伝わる役で太鼓も引地区伝承のもの。祭りのときに清盛塚の前にある見晴台に据付ける。櫓の太鼓は飾りで、実際の演奏は前方に用意した太鼓で行う。